「とりあえず医療保険に入っておいたほうがいいかな…」こういう気持ちで保険に加入することって多いですよね。不要なのか必要なのか、一体どっちなんだ?保険選びよりも、自分の環境の中で使える制度や、病気の確率などを確認してからどうするか考えてみましょう。保険代理店経験者として、保険よりも「これ」を知ることが大事です!
このヒントでわかること
公的な保障が充実していることがわかる。
自分が守られている保障の確認方法がわかる。
■保険に加入する前に考えること
まずは皆さんが加入している医療保険として健康保険がありますね。日本の健康保険制度は素晴らしく、病院で10000円の治療を受けても自分で支払うのは3000円だけで7000円は健康保険の方から病院に支払ってくれるです。3割負担ということですね。さらに高額療養費制度という素晴らしいものがあります。表は70歳未満の方の例です。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当※2 |
①区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) (報酬月額81万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% | 140,100円 |
②区分イ (標準報酬月額53万~79万円の方) (報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方) | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
③区分ウ (標準報酬月額28万~50万円の方) (報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方) | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
④区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) (報酬月額27万円未満の方) | 57,600円 | 44,400円 |
⑤区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 | 24,600円 |
- ※1 総医療とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
- ※2 療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
- 注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。
月収の区分で自己負担はここまででいいですよーということです。例えば報酬月額27万円から51万5千円の方ですと 一月の医療費の上限はこういった計算式で決まります。
80,100円 + (総医療費 ー 267,000円) × 1%
これは、医療費267,000円までなら3割負担80,100円で、超えた部分は1%の負担でいいですよということです。一例として医療費が100万円かかった場合、
1,000,000円 ー 267,000円 = 733,000円
この733,000円の1% 7,330円と80,100円を足した金額87,430円が限度額ってことです。(医療費なので入院時の食事代や、個室利用料は別に支払う必要があります)1ヶ月入院したときに約9万円の緊急資金があればなんとかなるってことです。
また、これは個々によりますが、健康保険証が会社の健康保険組合などになっている場合、先程の高額療養費制度よりも自己負担額が少なくなるような福利厚生があることがあります。付加給付等といった制度で、会社によっては自己負担は4万円くらいで収まったりすることも。以前に友人から相談を受けたとき、友人の勤務先に共済組合があり、医療費の自己負担限度は205千円でした。まずは自分の組合を調べることと、わからないときは会社に聴くこと。この行動で医療費にお金かかりそうといった不安を解消することができるでしょう。手元の預貯金でカバーもできるかもですね。
■性・年齢階級別にみた入院受療率(人口10万人あたりの入院者数)
公益財団法人生命保険文化センターより引用
入院したときの医療費のイメージはできたかと思います。じゃあどれ位の確率で入院するのか?生命保険文化センターのデータに興味深いものがあります。人口10万人当たり入院患者は960人とのことです。
年齢 | 総数 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
総数 | 960 | 910 | 1,007 |
0歳 | 1,065 | 1,155 | 971 |
1~4 | 134 | 153 | 115 |
5~9 | 71 | 79 | 64 |
10~14 | 99 | 106 | 92 |
15~19 | 123 | 121 | 126 |
20~24 | 141 | 128 | 156 |
25~29 | 198 | 142 | 258 |
30~34 | 246 | 165 | 331 |
35~39 | 257 | 215 | 301 |
40~44 | 273 | 278 | 267 |
45~49 | 345 | 387 | 302 |
50~54 | 478 | 551 | 404 |
55~59 | 664 | 776 | 551 |
60~64 | 895 | 1,064 | 730 |
65~69 | 1,207 | 1,444 | 983 |
70~74 | 1,544 | 1,797 | 1,318 |
75~79 | 2,204 | 2,461 | 1,997 |
80~84 | 3,234 | 3,440 | 3,088 |
85~89 | 4,634 | 4,795 | 4,546 |
90歳以上 | 6,682 | 6,706 | 6,673 |
注:総数には、年齢不詳を含む。
<厚生労働省「患者調査」/令和2年>
まさかの0.96%!年齢が上がると確率は上がってきますが、90歳女性で6.7%ですね。あくまで確率の話なので絶対入院しないということではないですし、現に入院された方もいらっしゃると思いますので断定的なことは言いませんが、あまり入院することって確率的には少ないのです。
まとめ
保険屋さんから「こんな保障があると安心ですよ」といったトークを聴いて医療保険に加入するよりも、まずは自分や家族に備わっている公的保障を確認することがとても大事ということです。心理的に「加入していると安心」という方もいるのも存じております。でも大切なお金の使い方を有意義にしていくことがこのサイトの目標です。
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